会長挨拶
第81回日本めまい平衡医学会総会・学術講演会
会長 北原 糺
奈良県立医科大学 耳鼻咽喉・頭頸部外科学講座
第81回日本めまい平衡医学会
総会・学術講演会
会長 北原 糺
奈良県立医科大学
耳鼻咽喉・頭頸部外科学講座
本学会の奈良県開催は、松永 喬大会会長以来、実に33年振りになります。神鹿の練り歩く、色彩豊かな紅葉の秋。美しく神秘的な青丹よし奈良にて執り行われる「めまいの謎解き」に、多くの皆様方のご参加ならびにご発表をお待ち申し上げます。奈良県での学会開催はそうそうございません。是非とも現地にお運びいただき、めまい診療の最新知見を議論ください。
この度、第81回日本めまい平衡医学会総会・学術講演会を奈良県立医科大学 耳鼻咽喉・頭頸部外科学教室が担当させていただくことになりました。会期は令和4年(2022年)11月16日(水)~18日(金)、会場は平城宮跡にほど近い奈良県コンベンションセンターです。
日本めまい平衡医学会は昭和32年(1957年)に第1回「前庭研究の集い」として始まり、平成~令和と三時代、65年にわたり引き継がれて今日に至ります。このような伝統ある学会を主催する機会を賜りましたことは大変光栄なことであり、ご指名をいただきました本学会役員をはじめ、代議員、会員の先生方に厚く御礼申し上げます。また学会開催に向けて多くの貴重なご助言やご支援を賜り、関係の皆様に心より感謝申し上げます。
第81回日本めまい平衡医学会のテーマは「めまいの原因を紐解く」とさせていただきました。Robert Baranyの功績である温度刺激検査のみならず、今やvHIT、c/oVEMP、SVVなど多くの検査機器の開発、内耳造影MRIなど画像診断技術の向上によって、これまで原因不明であっためまいの原因を突き止めることができるようになってきました。今回、このような最新の検査法を手際よく利用してめまいの原因を探ることにも焦点を当てますが、同様に注力したいのはそのような検査機器を持たない場合にどう対処するのが最善か。皆様方と掘り下げて議論する機会にしたいと考えております。ベテラン・専門会員の先生方のみならず、若手・相談医の先生方にも実質的な価値ある情報をお持ち帰りいただきたいという思いを込めた「めまいの原因を紐解く」とご理解ください。
また今回、めまいに関する検査と治療において力を入れたいと考えているトピックスが3つございます。一つは「平衡訓練/前庭リハビリテーション」に関して。1990年に日本平衡神経科学会(当時)において発表された「平衡訓練の基準」を、30年振りに改訂した「平衡訓練/前庭リハビリテーションの基準-2021年改訂-」が、Equilibrium Research誌2021年12月号に掲載されました。基本的に統一されためまい治療としてのリハビリテーションの原理・方法をわかりやすく解説したいと考えますので、是非とも理学療法士の先生方にもご参加いただきたく思っております。二つめは「前庭性片頭痛に対する抗体製剤」に関して。片頭痛に対する抗体製剤治療薬が、昨年2021年春に保険適応になりました。末梢前庭系におけるCGRP分子の役割についての基礎研究は、本邦でも1980年代から粛々と行われて来ただけに、抗体製剤による何らかの抗めまい効果も認められることが期待されます。是非とも内科、脳神経内科の先生方にもご参加いただきたく思っております。さらに3つめは「ビデオヘッドインパルステスト(vHIT)」と呼ばれる、左右6本ある半規管すべての機能が評価できる新たな平衡機能検査について。この検査が今年2022年春から保険収載されました。非常に簡便な検査機器、検査方法でめまいの原因を探ることができます。vHITに関するランチョンセミナーとハンズオンセミナーをセットで企画しておりますので、是非とも自施設にvHITを置きたいと思われている勤務医、開業医の先生方にもご参加いただきたく思っております。