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ご挨拶に先立ちまして、私たちの生活を一変させた新型コロナウイルス感染のために尊い命を失われた方へ心より追悼の意を表しますと共に、甚大なる被害を受けられた皆様へお見舞い申し上げます。またこのような状況下に、日夜最前線で闘われている本会関係者に深く感謝申し上げます。
「東日本大震災からの復興」そして「コロナとの戦いに打ち勝った証」と提唱されたオリンピックの開催が決定されました。同じく開催されるパラリンピックは、われわれの社会に障害者の問題をあらためて考えさせてくれる機会になると確信しております。
本地方会の上部団体である日本熱傷学会は年に1回学術集会を開催しております。熱傷の基礎的研究から最新の治療にいたるまで様々な問題を討議するため、分野ごとに細かくセッションが分かれています。例えば、成人と病態生理が異なる「小児、高齢者の熱傷」のセッションもその一つです。しかし健常者と異なる側面から「障害者の熱傷」を、独立したセッションで議論する機会はありませんでした。そこで本地方会では「障害者の熱傷」のパネルディスカッションを企画しました。障害は身体障害、知的障害、精神障害の3種類に分類され、さらに身体障害は、視覚障害、聴覚・平衡機能障害、音声・言語・そしゃく機能障害、肢体不自由、内臓機能などの疾患による内部障害に細分されます。もちろんパネルディスカッションには時間的制約があるため、すべての領域を一度に扱うことは不可能です。さらに討議される領域においても、今後の対応や解決策といった具体的、建設的な議論に至らないかもしれません。しかし例えば、現状の問題が浮き彫りになるだけでも、次の課題に向けて進むことができるのではないでしょうか。今回のパネルディスカッションが「障害者の熱傷」を考える契機、第一歩につながれば幸甚です。
さらに本地方会では、三題のセミナーと一般演題のセッションも設けております。皆様にとって有意義な会になりますよう微力ながら準備してまいりますので何卒よろしくお願い申し上げます。
2021年6月
第30回日本熱傷学会関東地方会
会長 松﨑 恭一
(国際医療福祉大学医学部 形成外科学 主任教授)