ご挨拶

第26回日本在宅医療学会開催に当たり

第26回 日本在宅医療学会学術集会
会長 吉澤明孝(医療法人社団愛語会 要町病院 副院長)

第26回日本在宅医療学会学術集会を、東京の池袋と言う自分の在宅ホームグランドで開催させていただくことに深く感謝いたします。

国が在宅医療を認めたのが平成6年(1994年)、今から20年前のことになります。自分は、癌の患者さんが「家に帰りたい」と言う一言から、在宅医療など知らずに往診として、連日点滴に通い始めたのもちょうど平成6年でした。それから20年、ホームグランドでは、自治体を上げての取り組みもはじめております。

本学会は、がん患者さんを始めとする医療依存度の高い患者さんを、家に帰していかに楽しく過ごさせてあげることができるかと言う視点から始まった学会であると聞いております。そのためには、①在宅(地域)での看取り ②退院支援 ③多職種連携が特に重要であります。今回はテーマを「在宅での看取り」とさせていただきました。「看取り」とは、亡くなるということではなく、本来「看病する」と言う意味であり在宅(地域)で看病するというこの学会の趣旨を表します。また、在宅死(在宅看取り)は1975年(昭和50年)までは病院死よりも多く、1976年に入れ替わり、今では病院死80%在宅死20%の状態です。在宅死と病院死の違い、在宅死=平穏死として多数の著書もあり全国でご講演され、地域で在宅を実践されている高名な尼崎の長尾和宏先生に、地域での看取りについて特別講演をお願いしております。また、基幹病院から地域に帰すためには、その架け橋になる退院支援が必要であり、京都、東京を始め多くの自治体での退院支援マニュアルを指導されている退院支援の女神ともいわれる宇都宮宏子先生にも特別講演をお願いしております。

そして多職種連携なくしては在宅(地域)では看取り=看病はできません。今回多職種連携について、本会と同一日に幕張で日本在宅薬学会が行われますが、同じ在宅のチームとして、薬剤師、介護職、栄養士、理学療法士などとの連携、地域での取り組みを指定演題として応募していくつもりです。ぜひ楽しく語り合える会にしたと思いますので、多数ご参加いただき、それが次の日から患者家族のためになると確信できるものにしたいと思いますのでよろしくお願いいたします。