第71回日本病理学会秋期特別総会(The 71st Autumn Annual Meeting of the Japanese Society of Pathology) 会期:2025年 11月13日(木)・14日(金)

会長挨拶

第71回日本病理学会 秋期特別総会
会長 都築 豊徳
愛知医科大学医学部 病理診断学講座 教授
会長:都築 豊徳 写真

このたび、2025年11月13日・14日に愛知県名古屋市の名古屋コンベンションホールにて、第71回日本病理学会秋期特別総会を開催する運びとなりました。本総会の副会長には、本学病理学講座の笠井謙次教授が就任しております。

総会テーマは、邦題「見る、診る、観る」、英題 Pathology Rises: New Frontiers in Diseases and Diagnosis といたしました。このテーマには、病理学の本質である「観察」「診断」「解析」の奥深さを改めて見つめ直し、病理学のさらなる発展を目指す思いを込めています。

邦題は、病理学に携わる者の成長過程を象徴しております。初期段階では、細胞や遺伝子における微細な所見や異常に注視し、それのみに集中する「見る」の段階にあります。やがて経験を積むことで視野が広がり、患者を包括的に理解し診療に結びつける「診る」の段階へと移行します。最終的には、病理学を医学、社会、さらには国際的視点から捉え直す「観る」の境地に到達する過程を表現しております。

英題には、かつて医学の中心にあった病理学が近年その地位をやや低下させている現状を踏まえ、病理学を再び医学の中心に据えるために何が必要かを問い直す意図を込めました。病理学が新たなフロンティアを開拓し、医学全体の発展に貢献することを願っております。

本学会ポスターは著名な書家である紫舟氏に揮毫して頂いております。興味がある方はこちらのサイトも見て頂ければと思います。

また、世界における日本の研究の地位低下が叫ばれて久しく、その一因として、研究や診断内容が各論に偏りすぎ、本来あるべき病理学総論が失われつつあることが挙げられます。本総会では、各論的な内容を抑え、病理学全体を俯瞰する総論的議論を深める場を提供したいと考えています。

本総会では、例年通り、病理診断特別講演、A演説、B演説を実施します。

病理診断特別講演では、東海大学の中村直哉先生をお迎えし、悪性リンパ腫の極意についてご講演いただく予定です。

また、特別企画として、以下4つの企画を準備しております。

  • シンポジウム1
    各領域の著名な研究者を招聘し、病理学のアドバンテージを活かした研究と病理学会への提言をいただきます。病理学的アプローチおよび解析方法を現代的視点から見直し、新たな研究的視野の獲得を目指します。また、若手の先生方にも議論に参加いただき、次世代病理学研究の構築を発信していただきたいと考えています。
  • シンポジウム2
    癌取扱い規約をテーマに取り上げます。現在の病理診断において癌取扱い規約は重要な役割を果たしていますが、その意義や運用方法についてはさまざまな意見があります。本シンポジウムでは、多様な立場から討議を行い、新たな展開を模索する機会とします。
  • 医療統計に関する特別講演
    医療統計は現代医学において極めて重要ですが、病理学分野では十分に活用されていない現状があります。病理医・研究者が知っておくべき医療統計の基本について、特別講演を予定しています。
  • 病理医教育に関する特別講演
    病理医教育は喫緊の課題ですが、これまで議論は国内事情に留まることが多く、海外の状況が十分に把握されていません。今回は、欧州病理学会およびアメリカ・カナダ病理学会の元会長経験者を招聘し、国際的視点からの病理医教育に関する講演をお願いしています。加えて、早朝に行うモーニングセッションでは、海外留学を考えている先生方と講師陣との意見交換・交流の場も設けます。

この他にもハンズオンセミナーや病理診断に関わるセミナーも並行して開催いたします。

今回、愛知医科大学が日本病理学会の学術集会を担当するのは初めてとなります。本学の病理診断学講座および病理学講座が総力を挙げて準備を進めておりますので、ぜひ現地にお越しいただき、充実した学術交流の場としていただければ幸いです。また、名古屋ならではの美味しい食文化「名古屋めし」もぜひご堪能ください。

皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。
どうぞよろしくお願い申し上げます。