会長挨拶
- 第30回日本耳科学会総会・学術講演会
- 会長 山下 裕司
- (山口大学大学院医学系研究科 耳鼻咽喉科学)
このたび第30回日本耳科学会総会・学術講演会を担当させていただくことになり,教室員および同門会一同,大変光栄に思っております。このような名誉ある機会をいただき,村上信五理事長をはじめ役員各位ならびに会員の皆様に,心より御礼申し上げます。
会期は2020年(令和2年)11月11日(水)〜14日(土)の四日間で,福岡県北九州市にて開催いたします。山口県とは関門海峡を挟んだ対岸に位置しておりますが,会場はJR小倉駅に隣接しており,全国の先生方には比較的便利にお越しいただけると存じます。北九州市は人口95万人の政令指定都市で四大工業地帯の一角を占めていたように製造業の盛んな地域として発展いたしました。物作りの盛んな都市での開催にちなんで,第30回大会のテーマを「物作りの匠に学ぶ〜独創性をめざして〜」とさせていただきました。テーマにちなんだ基礎から臨床までの11テーマセッションを予定させていただきました。海外からのゲスト講演者が次々と参加不可能となる中,魅力的なセッションとなるよう御指導いただいた司会の先生方には,この場を借りて深く感謝申し上げます。
さて,日本耳科学会は日本臨床耳科学会,日本基礎耳科学会が合併して30年を迎えようとしております。本大会では,これを記念して会期中に30周年記念式典,30周年記念シンポジウムを開催いたします。記念式典では加我君孝先生にこれまでの耳科学の歴史について講演いただき,歴代理事長の先生方に討論いただく予定です。また記念シンポジウムでは,耳科学のそれぞれの分野において30年間の歴史をふまえた御講演をいただく予定です。
特別講演では学会が開催される北九州市に本社のある安川電機より,安川電機みらい館館長の岡林千夫先生に御講演をお願いいたしました。岡林先生は産業ロボットの開発に従事してこられ,長期間のスウェーデン等での海外勤務も経験してこられました。現在は, みらい館館長として,教育にも尽力しておられます。その豊富なご経験から,これからの研究者・技術者のあり方についてもお話しいただけるものと存じます。
招待講演ではUppsala UniversityのHelge Rask-Andersen先生に,これまでの研究成果についてお話しいただきます。Rask-Andersen先生は,優れた臨床医であるとともに,内耳基礎研究を継続されてこられました。耳科学を志す若い先生の模範になると思います。新型コロナウイルス感染症の流行の中で, 最後まで来日いただける可能性を模索していただきました。しかしながら,今回はweb講演として「Human Inner Ear Microanatomy」についてお話しいただく予定となりました。
その他の企画として,ネクストジェネレーションセッション,教育セミナー,ランチョンセミナー等,参加する先生方の興味を引く内容を用意しましたので,出来る限り多くの先生に参加していただけることを期待しております。
学会を離れましても,会場近くには小倉城がありますし,日本新三大夜景都市として認定された夜景等,多くの観光名所があります。また波が荒々しい「響灘」,流れが速い「関門海峡」,瀬戸内海の穏やかな「周防灘」と3つの海に面しているように自然も豊富な町ですので,魅力的な海の幸・山の幸を楽しんでいただければと存じます。
国内の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い,学会開催については慎重な判断が求められる状況ですが,多くの講演会場では定員を半数にすることで,使用が可能となりました。幸い,広い会場を準備していたこともあり,定員が減少しても複数会場の中継で対応する等,感染対策に十分配慮した上で現地での開催が可能であると判断いたしました。引き続き,感染に配慮した準備を行ってまいりますので,ぜひとも北九州市にお越しいただければと存じます。医局員一同,心からお待ち申し上げております。