会長挨拶
第35回日本耳科学会総会・学術講演会
会長 中川 尚志
九州大学大学院医学研究院 耳鼻咽喉科学分野
この度、第35回日本耳科学会 総会・学術講演会を九州大学耳鼻咽喉科教室が担当させて頂くことになりました。会期は2025年10月29日から11月1日、会場は福岡国際会議場です。教室にとりましては、2007年(平成19年)の第17回(会長:小宗静男先生)以来、18年ぶりの栄誉であります。本学会の発展に貢献できるよう教室員一丸となって鋭意準備を進めております。重責に身の引き締まる思いです。
特別講演やシンポジウムなどの企画は、過去の素晴らしい学会を参考にし、自分の特色をだしつつ、本会および会員の皆様発展に寄与できる企画を、学会役員・会員の皆様のご指導を仰ぎながら準備いたします。
近年、始まりました国際セッションにも力をいれるつもりです。福岡からの台北までは東京より少し遠い程度ですし、ソウルまでほぼ大阪と同じ距離です。MOU(Memorandum of Understanding;協力の基本合意)を結んだ台湾、韓国のベテランの先生に期待の若手を引率してくださるようにお願いし、英語で活発に討論できたらと願っています。
今回の学会のテーマを「耳科学って楽しい」としました。今までの学会テーマは崇高な、将来を見据えたものでありましたが、私は自分の気持ちをそのままテーマとしました。私自身、耳科学会を母なる学会として育ってきました。新人1年目に初めて参加した全国学会は1986年に新潟で行われた臨床耳科学会でした。また初めて発表した全国学会は1988年度、1989年2月に甲府で行われた基礎耳科学会です。その後、耳科学会の演題発表もしくは企画での講演が毎年途切れないように心がけてきました。留学までは基礎研究を、留学から帰ってきて基礎研究を自分でできなくなってからは臨床演題を発表するように心がけてきました。耳科医として、基礎研究、耳科手術、頭蓋底手術、難治性中耳炎などの臨床テーマに取り組んできました。これらは義務感で続けたのではありません。耳のことを考える時間は、今でも私にとって楽しいひと時です。このような気持ちを若い先生方に伝えることができないかと考えています。このメッセージが伝わるように企画を工夫します。
企画の一部でオンデマンド配信を行う予定ですが、是非、会場に足をお運び頂き、交流を深めて頂きたいと願っております。私の若い頃もそうでしたが、他大学、施設との交流が明日への糧となります。皆様のご参加・ご来場を心よりお待ちしております。