第42回日本レーザー医学会総会
会長 貴志 和生
(慶應義塾大学医学部形成外科学 教授)
この度、第42回日本レーザー医学会総会を開催させていただきます。今回は、第31回日本光線力学学会学会(松井裕史会長)と、第17回日本脳神経外科光線力学学会(園田順彦会長)との合同で行います。3学会合同の東京で行います学術大会は古川欣也前理事長の学術大会に次いで2回目となりますので、Laser week in TokyoIIとさせていただきました。それぞれの学会の特色を生かしつつ、他の学会も見ることができるというようにと工夫を凝らしております。特別講演を筑波大学名誉教授の加藤澤男先生、日本医用レーザー研究所の大城俊夫先生にお願いしました。また最近特に注目を浴びています、専門医制度の展開につきまして、中村哲也先生に理事長講演をお願い致しております。日本レーザー医学会も様々な分野にわたる学際的な学会ですので、あえて分野別のシンポジウムを満遍なく企画させていただきました。会員の皆様におかれましては、各会場を行きし、自分の専門分野以外のセッションも見て、自分の領域にフィードバックできないかという視点でご覧になっていただければと思います。新型コロナがまだ完全に落ち着いているとは言えない中での開催になりますが、感染対策に十分注意して開催しますので、ぜひ、秋の有明でレーザーの未来について語り合えればと思います。ご参加のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
第31回日本光線力学学会学術講演会
会長 松井 裕史
(筑波大学医学医療系 消化器内科 講師)
私がPDTを初めて施行したのは1997年の春でした。学位取得後関連病院での勤務を経て大学に文部教官助手として奉職し立ての時期でした。右も左もわからず、わからないことがあると、いちいち大阪成人病センターの故三村先生や楢原先生に電話をかけて指導を仰ぐ日々でした。お二人にはお忙しい中とてもお世話になりました。感謝しております。
大学院時代は浜松ホトニクスつくば研究所で過ごしました。一回り年上の平野憲一さん、石川満さんに研究のイロハから教えていただきました。「胃粘膜が傷害されるとヘムからポルフィリンができて自家蛍光を発する」という現象を見出し、その機序に活性酸素が関与するという内容で学位をいただきました。ようやっと先が見えてきたこの頃ですが、始まりから終いまでポルフィリン研究というテーマで貫徹できたことは研究者として大いに幸せでした。総仕上げとしてがん特異的ヘム・ポルフィリン代謝を用いた新しい治療法を、教育講演をお願いした産業総合研究所の岩田康嗣先生と開発しています。この原稿を書いている4月の段階では知財化できていないのでお約束はできませんが、10月にはそのあらましを岩田先生にお話しいただけると思っています。
また、筑波大学の加藤澤男名誉教授に「金メダルの取り方」をお話しいただきます。加藤先生はオリンピック体操競技で金メダルを8個、銀メダル3個、銅メダル1個獲得された方です。若い先生に「金メダル」を獲得する心構えが伝わることを祈念しています。
コロナ禍で打ち合わせもZoomです。すべて他の2会長におんぶにだっこですがより良い会になることを祈念して会長挨拶といたします。
第17回日本脳神経外科光線力学療法学会
会長 園田 順彦
(山形大学医学部 脳神経外科 主任教授)
第17回日本脳神経外科光線力学療法学会を、昨年に引き続き、第42回日本レーザー医学会総会、第31回日本光線力学学会学術講演会との3学会合同学術集会(Laser week in Tokyo II)とし東京で開催させていただきます。光線力学的診断としての5-ALA(アミノレブリン酸)は、米国においては2017年に承認されたこともあり、現在、悪性神経膠腫手術の領域ではトピックになっております。一方で研究用試薬として使用されていた日本では20年以上の歴史があり、保険収載も2013年にされています。日本においては成熟期に入っていると思われますが、一方で、5-ALAを用いた前向き試験は日本では未施行であり、まだ強いエビデンスは確立していません。一方、光線力学的療法としてのタラポルフィリンも2013年に保険収載され徐々に導入施設も増加していますが、治療効果という点ではこれも、まだ強いエビデンスは創出されていないと考えます。日本の現状を2001年から2010年を保険収載に向けた10年間、2010年から2020年までも全国普及に向けた10年間ということで考えると2021年からの10年間はエビデンス創出のための10年間、さらには、新たなの発展ための10年間ととらえることもできます。本学会ではPDDの有効性の再検証、PDTの現状と問題を議論し、最後にPDD PDTの今後を議論するセッションを設けました。またPDD PDTに関する基礎研究についても活発に議論したいと思います。また他領域での臨床・基礎研究を学び新たな方向性を模索するという点でも今回の3学会共催はまたとない機会と考えます。会員の皆様が脳神経外科光線力学研究・診断・治療の今後の10年間を考えるきっかけになればと考えます。新型コロナウイルスの感染状況も大きな改善がみられていない状況ではありますが、会員の皆様と秋の東京でお会いできるのを楽しみにしております。