会長挨拶
このたび、2021年12月19日(日)に、第2回世界瘢痕学会(The 2nd World Congress of Global Scar Society: The 2nd G-ScarS)を、第16回瘢痕・ケロイド治療研究会(The 16th Meeting of The Japan Scar Workshop: The 16th JSW)と共にパシフィコ横浜に於いて開催させていただくこととなりました。当初2020年11月に開催予定でしたが、コロナウイルス感染症の社会状況によりまして、本年の開催とさせていただきました。
ケロイドや肥厚性瘢痕を含む、傷あとの治療は国際的な関心が高まっており、この度、われわれが第2回世界瘢痕学会(The 2nd G-ScarS)を開催させていただくことは大変な名誉と思っております。ヨーロッパを中心に、国内外の多くの創傷・瘢痕治療の専門家が一同に会する素晴らしい機会になると確信しております。このG-ScarSでは、重症化するアジアの瘢痕拘縮・ケロイド治療だけでなく、美容的な問題が議論となる欧米の瘢痕治療が融合し、瘢痕や創傷治癒に関する臨床的・基礎的テーマが国際的な視点から広く、そして熱く議論されると思います。
本邦においてはおかげさまで瘢痕・ケロイド治療研究会(JSW)が2020年で15年目を迎えます。瘢痕・ケロイド治療研究会は年1回の研究会でパネルディスカッションを行ってまいりました。すべての討論は瘢痕・ケロイド治療ジャーナルに掲載されていますが、その結果2つの大きな成果が得られました。1つは、誰もが容易にケロイド・肥厚性瘢痕を診断できることを目的に作成された「Japan Scar Workshop Scar Scale: JSS」です。これは第1版が2011年に、第2版は2015年に報告され、最新版であるJSS 2015が汎用されています。もう1つは2018年7月に出版された、臨床に即した診断・治療指針である「ケロイド・肥厚性瘢痕診断・治療指針2018」です。これは、ケロイド・肥厚性瘢痕の治療を専門とする施設の先生方だけでなく、一般的な形成外科や皮膚科、また傷あと(瘢痕)に関心をお持ちのすべての先生方にもご利用いただけるよう工夫がなされた診断・治療指針です。さらにこの「ケロイド・肥厚性瘢痕診断・治療指針2018」は英訳され、雑誌Burns & Traumaに掲載されており、PubMedから全世界でダウンロードが可能です。 これらの成果は研究会会員の皆様のご尽力の賜物であり、いままで治療が困難であったケロイド・肥厚性瘢痕に対する医療に一石を投じることができたと思っております。第16回瘢痕・ケロイド治療研究会でも、新たな目標に向かって熱い議論が行われることと思います。
Scarless wound healingを目指して、瘢痕で悩む患者さんを1人でも減らすため、有益な学会となるよう、教室員一同とともに鋭意準備しております。ぜひ多くの会員の皆様のご参加、そして演題のご投稿、何卒よろしくお願い申し上げます。
- 第2回世界瘢痕学会・第16回瘢痕・ケロイド治療研究会
- 大会会長 小川 令
日本医科大学形成外科学教室 主任教授