第29回日本心臓リハビリテーション学会学術集会(The 29th Annual Meeting of the Japanese Association of Cardiac Rehabilitation)

会長挨拶

満崎大会長写真
第29回日本心臓リハビリテーション学会学術集会
会長 安 隆則
(獨協医科大学日光医療センター病院長/ 心臓・血管・腎臓内科 主任教授)

この度、2023年7月15日(土)・16日(日)、パシフィコ横浜ノースを会場として、第29回日本心臓リハビリテーション学会学術集会を開催いたします。

本学会は、先進的心血管治療および予防介入としての心臓リハビリテーションをわが国において広範に普及させるとともに、その質の向上を図り、ひいては心血管疾患患者のQOLと長期予後を改善し、もって国民の健康福祉に寄与することをめざします。この目的を達成するために、本学会は心臓リハビリテーションに関わる学術研究の振興・発展を図り、会員の教育・研修・交流を通じて人材の育成に努め、国内および海外の関連団体と連携・協働し、市民・医療関係者・社会一般への情報発信・啓発・提言などの活動を行います。本学会は、1995年に恩師、斎藤宗靖初代理事長の下、設立されました。会員は、医師・看護師・理学療法士・作業療法士・臨床検査技師・管理栄養士・臨床心理士・健康運動指導士・研究者など多職種からなり、会員数は創設以来増加を続け、2021年7月現在15,000人に到達しています。2021年3月に当学会と日本循環器学会が共同で『心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン』改訂版を発表しました。このガイドラインでは、疾病管理プログラムを含んだ包括的心臓リハビリテーションの重要性だけではなく、腫瘍循環器リハビリテーションや緩和ケア、地域包括システム、遠隔心リハにも言及されており、心臓リハビリテーションにおける院内での多職種連携、急性期・慢性期病院だけでなく行政と地域にまで及ぶ連携を求めています。

2015年9月の国連サミットで加盟国が全会一致で開発目標としてSDGs(Sustainable Development Goals)を採択しました。紛争、貧困や飢餓、エネルギー、気候変動など、地球全体が直面する課題に関して、17の目標を定め、2030年までの実現を目指しています。一昔前なら、「シュバイツァーのような医師になって熱帯病で苦しむたくさんの人々を救いたい」と言うと、「新型コロナ感染症とウクライナ問題を見ろ! そんな理想論ばかり言っていないで現実を見ろ!」と馬鹿にされたかもしれませんが、今や、人類および地球レベルの変革をもたらすSDGsという目標の達成に向けて世界中が真剣に取り組み始めています。この締め切り時間を設定された国連の開発目標SDGsから逆算し、かつ自分たちの心臓リハビリテーション現場に落とし込んで、今回のテーマを、「間違いにくい心リハの探求:Approach on The Edge」としました。人は、毎日、間違いを起こしますが、その間違いの認識から改善がうまれ、人も組織も成長していきます。お互いの間違い経験や失敗しそうになった経験、その崖っぷち(edge)からどのように軌道修正してきたかを共有することによって、間違いをする前に実臨床、研究、そして人生に役だつ本質的なノウハウを皆様と一緒に考えたいと思います。「後悔先に立たず」という言葉がありますが、本学会では「先立つ後悔」情報を堂々と共有し、崖っぷちでどう行動すべきか、議論を深め、心臓リハビリテーション学会としてどのようにSDGsという目標の達成に向けて行動すべきか話し合いたいと思います。

特別講演には、シュバイツァーのような医師になりたいと医師になり、グローバルヘルス分野で世界のトップを走る学生時代からの友人である國井修医師{2022年2月までグローバルファンド(世界エイズ、結核、マラリア対策基金)戦略投資効果局長としてスイスのジュネーブで勤務し、2022年3月から帰国しグローバルヘルス技術振興基金CEOとして活躍中}を招きます。ヨーロッパ心臓リハビリテーション学会(EAPC、Euro Prevent)やアジア(Asia PRevent)との連携した企画も行い、グローバルヘルスの視点からのアプローチも盛り込みます。

本学会開催にあたり、参加者の皆様にとりまして、今後の発展に有益な意見交換の場となりますよう企画したいと考えております。

2022年5月吉日