第63回日本鼻科学会総会・学術講演会(The 63rd Annual Meeting of the Japanese Rhinologic Society)

会長挨拶

会長

第63回日本鼻科学会総会・学術講演会
会長 野中 学
(東京女子医科大学 医学部 耳鼻咽喉科学分野)

この度、「第63回日本鼻科学会総会・学術講演会」を2024年9月26日(木)~28日(土)、京王プラザホテルで開催することになりました。東京女子医科大学担当での開催は、平成3年の第30回(石井 哲夫教授、京王プラザホテル開催)以来2回目です。伝統ある本学会を担当させていただくことを大変光栄に存じます。この機会を与えていただきました春名 眞一理事長をはじめ役員、顧問、代議員の皆様、会員の諸先生方に心から感謝いたします。

今回の学会のテーマは、「明日へ、華ある未来へ」といたしました。昨年5月には約3年の長きにわたったコロナ禍による行動制限から解放され、明るい未来をコンセプトに、新しい鼻科学を学ぶ機会にしたいと考えています。

特別講演は、「睡眠の謎に挑む:原理の追求から社会実装まで」と題しまして、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構 機構長の柳沢 正史先生にお願いしました。柳沢先生は、オレキシンの発見者です。オレキシンの発見から睡眠学が如何に発展し、明らかになった睡眠や睡眠障害における脳内分子機構についてご講演いただきます。教育講演は、光触媒についてのお話を、東京理科大学 栄誉教授の藤嶋 昭先生にお願いしました。藤嶋先生には、「光触媒の原理と最近の展開、特に医学的応用を含めて~感染対策の観点から」と題しまして、光触媒の意義とその抗ウイルス作用など医療への応用についてご講演いただきます。柳沢先生、藤嶋先生ともノーベル賞候補者で、この学会の華であります。招待講演は、「The pathogenesis of Type 2 inflammation and treatment with Dupilumab」と題しまして、Claus Bachert先生にお願いしました。Claus Bachert先生は慢性鼻副鼻腔炎の研究分野での第一人者です。講演では最新のデータをご紹介いただく予定です。

シンポジウムは6つのテーマ、①炎症細胞のトピックス、②嗅覚に関する新知見、③国家戦略に沿った花粉症と喘息への対策、④内視鏡下鼻副鼻腔手術-前頭洞病変の治療戦略-、⑤難治性慢性鼻副鼻腔炎の新たな展開、⑥ダイバーシティ推進による鼻科学会の華ある未来へ、について企画しました。パネルディスカッションは2つ、「IgG4関連疾患に伴う慢性鼻副鼻腔炎はIgG4-RDか?」と「歯性上顎洞炎に対する治療および医療連携-耳鼻咽喉科と歯科の連携はどのように行うのが最適なのか?-」をテーマに企画しています。シンポジウムとパネルディスカッションには呼吸器内科学、歯科口腔外科学、感染症・免疫学、病理学、生命科学など他分野の著名な先生をお招きしていますので、他領域の先生方との討論でこれまでの問題点が解決される機会になると信じています。

特別企画は、「鼻科手術指導医の現況-意義と問題点-」にいたしました。鼻科手術指導医制度が開始されてから約5年が経過しました。その現状、問題点や今後の改善点など討論していただきます。

また、恒例になりましたアジア諸国との連携プログラムとして、韓国と台湾の理事長講演、日韓台シンポジウム(タイトル;Endotyping of chronic rhinosinusitis and action of biologics in East Asia)、2つの国際セッションを企画しました。国際セッションでは、海外から7題、日本から3題の計10題が英語でプレゼンテーションされます。

一般演題にはポスターを含めて257題の応募をいただきました。優れた演題が多く、全演題採択しました。口演発表では、今回も若手 (40歳以下) 優秀発表賞を、臨床部門と基礎部門に分け、臨床部門から2名、基礎部門から1名を選出し閉会式で表彰します。ポスター発表では、ポスター会長賞を若干名設けました。会員懇親会で表彰します。また、鼻科学会の目玉企画である基礎ハンズオンセミナー、臨床ハンズオンセミナーとも例年通り開催します。定員に限りがありますので、参加されたい方は早めにお申し込みください。

例年大会終了後に行われています市民公開講座ですが、今回は web視聴 (on demand形式) になります。 テーマは「悩む鼻副鼻腔疾患:好酸球性副鼻腔炎とアレルギー性鼻炎」で、高林 哲司先生には「変化してきた蓄膿症:好酸球性鼻副鼻腔炎にご注意」について、櫻井 大樹先生には「難治性アレルギー性鼻炎について」お話しいただきます。

鼻科学会の東京での開催は4年ぶりになります。この間、東京には新しい施設が続々と誕生しました。2023年4月に会場から程近い歌舞伎町に映画館・劇場・ホテルなどを有する「東急歌舞伎町タワー」が、6月には遊園地「としまえん」跡地に「ハリー・ポッター」シリーズなどの映画製作の裏側を体験できる「ワーナーブラザーススタジオツアー東京」が、11月には六本木ヒルズに匹敵する大規模複合再開発エリアに「麻布台ヒルズ」が、そして2024年2月には豊洲市場場外に美食と温泉が楽しめる「豊洲千客万来」が開業しています。アフター学会も満喫していただきたいと思います。

多くの先生方、特にこれから活躍される若い先生方のご参加をお待ちしております。開催形式は現地+on demand形式で、対面での活発な討議を行えればと考えています。

皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。